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収入と布教、複雑な派遣僧侶 「商品化」に違和感も

僧侶と客をつなぐ24時間対応のコールセンター。インターネットで検索して問い合わせをしてくる人が多いという(大阪市西区)
僧侶と客をつなぐ24時間対応のコールセンター。インターネットで検索して問い合わせをしてくる人が多いという(大阪市西区)

 2011年に妻の実家である東近江市の寺の住職になった瓜生崇さん(43)は、寺の台所事情を知って驚いた。普段付き合いのある檀家は約40軒、月収は7、8万円だった。夫婦だけならなんとかなるが、子育てするには無理がある。インターネットで僧侶手配会社を探し、派遣僧侶となった。

 最初の依頼は同年7月、堺市。乗用車で向かい通夜と葬儀を執行し、会社が決めた定額のお布施を喪主から受け取った。交通費は自己負担。後日、手数料を会社に振り込んだ。最近、依頼は減ったが計約100件の依頼を受けてきた。「過疎寺院が生きる新しい道。ネット経由で葬儀や法事を依頼する人も、仏教を求めている。教えを広めたい」と語る。

 僧侶手配サービスは、業者がネットや電話で葬儀や年忌などの法事の注文を受け、全国各地の契約僧侶を依頼主に紹介する。お布施の額を明示する場合が多く、4割を事務手数料などとして僧侶に請求する会社がある。ネット通販大手アマゾンジャパン経由の派遣は事前決済だが、僧侶が直接、依頼主からお布施を受け取る方式もある。

 大阪市天王寺区の僧侶純空壮宏さん(40)は約10社と契約。葬儀は年間約100件、それ以外の年忌などの法事は同500件の依頼を受ける。月15万円程度だった収入は年1千万円を超えた。それを元に自坊の仏具を整備し庫裏を新築。墓地を整備して納骨堂を建て、ペット供養にも取り組む。約70軒の檀家からは一切、寄付を集めていない。

 依頼主と接し、定額のお布施という安心感が社会のニーズになっていると感じた。「これが正しいかどうかは分からない」とも思う。それでも「悩む人を救うことが僧侶の役目だし、将来このお寺が残ればいい」と前を向く。

 派遣僧侶計6人に取材した。いずれも複数の手配会社や葬儀社と契約する。寺の通帳残高が10万円だった京都府南部の20代住職は今では派遣だけで年600万円を稼ぐ。関西の仕事が多いが、約300キロ遠方の法事も引き受けた。「派遣僧侶をしていることは、檀家には言えない」と漏らす。京都市内の40代住職は葬儀で遺族に頼られ「僧侶冥利(みょうり)に尽きる」。別の僧侶は数をこなすことが僧侶としてのスキルアップになる、と力を込めた。

 大阪市西区の葬儀関連企業を訪ねた。「小さなお葬式」の商品で知られ、全国千カ寺以上と契約する。昨年から、位牌や仏壇の販売数が多く、葬儀の後の四十九日や年忌法要の依頼獲得率が高い寺院を優先して派遣する制度を設けた。

 依頼主のアンケート結果や、遠方への派遣など無理を聞く僧侶への数字に表せない評価も加味する。「獲得率が高いということは、お客様の満足度が高いということ」と取締役営業部長の八田知巳さん(33)は説明した。

 一方、瓜生さんは僧侶が現代社会に合わせる必要は感じるものの、僧侶が下請けになり、企業が主導する仏事の「商品化」に違和感を覚える。支払う側にとってのお布施と手数料の線引きのあいまいさ、継続して依頼主とつきあうことも難しい。「生活に困っていなかったら派遣僧侶をやっていなかったろう」と迷いを打ち明ける。

 ネットが結ぶ仏縁。最前線にいる僧侶には複雑な思いも浮かぶ。

 ◇  宗教を巡る環境が大きく変化してきた。そのうねりの中で、宗教者はどうあればいいか。もがく僧侶たちの姿を追うと、変わる社会や人々の心持ちが垣間見えてくる。(「神仏のゆくえ うねりのなかで」6回連載の2回目)

【 2018年01月31日 17時00分 】

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