鞍馬の名物の一つに木の芽煮がある。かつてこの一帯の山中では、木の芽、つまり山椒(さんしょ)がたくさん採れた。その山椒の実と葉を、昆布とともに煮込んで細かく刻んだもので、山椒の香ばしい風味が食欲をそそる。
さて、この鞍馬寺の門前の街道筋も落ち着いた町並みで、散策には最適。町並みの向こ うに山が迫っており、夏でも涼しく、いかにも山あいの集落という実感が湧いてくる。
その町並みの一角に、堂々とした表構えの民家が見えてくる。国の重要文化財に指定されている滝沢家宅で、建てられたのは今から 230年以上前の宝暦10(1760)年のこと。
屋根には卯建(うだつ)があがり、1階表の格子窓の線が日本住宅の良さを今に伝えている。鞍馬の旧家はそれぞれ屋号で呼ばれており、この滝沢家は匠斎庵と呼ばれている。 道はさらに山へ分け入り丹波へと続くが、今回はここで引き返すことに。