日本人の忘れもの 京都、こころここに

おきざりにしてしまったものがある。いま、日本が、世界が気づきはじめた。『こころ ここに』京都が育んだ文化という「ものさし」が時代に左右されない豊かさを示す。

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京都発「日本人の忘れもの」キャンペーンプロジェクト

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2012年 5月掲載

京都女性 スポーツの会会長 水野 加余子さん

■お多福さん

 私の友人で米国出身のエイミー加藤さんという方がいます。彼女は、おたふく・おかめの研究家で、長年の日本暮らしの中で生活文化や、職人の技に傾倒し、日本の古い物を日本人以上に大切に収集しています。

 著書の中でも千本釈迦堂のおかめについて、おかめは厄を除け、失敗を成功に導き、災いを福に転じさせる偶像として崇(あが)められてきました。また、よろずの福を招くことから、おたふく/お多福と呼ばれています。と記し、その歴史と人々の言い伝えが混ざり合って人々のおかめに対する信仰を強くしています。彼女と話せば話すほど、日本に対する愛があふれ出ています。

 日本では衣食住、よく見れば至る所におかめさんがいます。彼女の微笑(ほほえ)みはソースから文具、お菓子に至るまで日本文化の中で良い物を示す守り神だと思います。

 おたふくはとても陽気で楽しい人柄です。良い食べ物が健康な身体を作ります。楽しみや笑いが生活には活力の源です。いつも私たちの心を癒やし日常生活を陽気にしています。お茶目で笑顔をたやさず元気でいられるよう、おかめさんを見習っていきたいと思います。

料亭 本家 たん熊 女将 栗栖 晴子さん

■うれしさの余韻

 日本には「後礼」という美しい習慣があります。つまり、お品を頂いた時、お食事に招かれた時、親切を受けた時などその場で言うお礼の他に、後日もう一度「この間はおおきに」とお礼を言う習慣です。

 若い世代では、おそらく一度で事足りるので、面倒くさいと思われる場合もありますが、外国でもお食事に招かれたら翌日にカードを贈る習慣の所もあり、丁寧で美しい習慣だとわたしは思っています。すぐに言わなくても、道で会った時に「この間はおおきに」と言うと、相手も一層幸せな気分になられると思います。

 日常的に、ここ京都では“おため”という習慣もあります。頂き物をした時、ちょっとした物を「有難(ありがと)う」の意味を込めてお返しする事です。そのせいかわかりませんが、この街では、おためにうってつけな小さくて可愛(かわい)らしいお品が沢山存在します。もらわれた方も、帰宅してうれしい気持ちになられる事でしょう。

 日本人は何事にも余韻を楽しみます。控えめにうれしい気持ちを持続する-これこそ誇りに思っても良い習慣ではないでしょうか。最近、この気持ちを忘れていませんか?