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たかだ・まさとし 1944年、京都市生まれ。京都大理学部卒。旅と観光、食文化、嗜好(しこう)品、眠りなど人生の楽しみを追求。著書に「にっぽんの知恵」「ともいきがたり」など。

高田公理氏 育てたい、子供の好奇心

 「宇宙人って、いるの?」
 好奇心の強い子供が発する問いの一つだ。答えは「いる。宇宙に浮かぶ地球上のぼくらも宇宙人なのだ」−正しくはあるが、地球外の宇宙に関心のある彼らは満足しまい。
 そんなことを考えていると、「生物がいそうな天体」が見つかった。昨年末、米航空宇宙局(NASA)は宇宙望遠鏡での観測結果から「水のありそうな惑星を確認した」と発表した。水こそは生命に必要不可欠な物質なのだ。この天体の地表付近の気温は推定で22度C。「ケプラー22b」と名付けられた。固体なのか気体なのかは不明ながら、地球型惑星の発見に近づいたことは確からしい。
 以前にも、太陽系外の惑星らしい天体は2000個余り、水のありそうな天体も48個が知られていた。だが、惑星であることが分かったのは今回が初めてだ。大きさは地球の2・4倍、地球からの距離は600光年。太陽より小さく、温度の低い恒星から適度に離れた軌道を約290日周期で公転しているという。
 こんな話を聞いて、人工の光の少ない山上や海辺で、澄み切った冬の夜空に散らばる無数の星を眺めると、不思議な気分になる。その数は銀河系の恒星だけで数千億個。宇宙には、そんな銀河が1000億個も存在するのだ。
 で、冒頭の問いを某天文学者に投げかけてみた。すると「それに答えるのは文明学者の仕事だろ?」という。なぜなら、地球外の宇宙人の実在が確認できるか否かは、現代の科学・技術文明が、今後どのぐらい生き延びるかによるからだ。実際、仮に「ケプラー22b」の知的生命体との電波通信が可能になったとしても、その交信には600年の2倍の年月がかかるのだ。
 では、ぼくら地球人の文明は持続可能なのか。思い出すのは半世紀前、有害化学物質の危険を「鳥の鳴かなくなった春」に託して描き出した書物『沈黙の春』だ。以来、地球環境問題は深刻になるばかりである。それを克服するには、どうすればいいのか。
 『沈黙の春』の著者レイチェル・カーソンは死の直前、『センス・オブ・ワンダー(驚きの感覚)』という遺言めいた本を書いた。それは「美しいもの、未知なもの、神秘的なものに目を見張る子供たちの感性を育む」ことに答えがあると語っているように思われる。
(佛教大教授)

[京都新聞 2012年01月29日掲載]

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